香ばしくミステリアス、その正体

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夏は「うなぎ」を食べなきゃ始まらない。

とくに「土用の丑の日」と聞けば「あ〜、鰻を食べたいなぁ。

食べに行こう!」という気持ちにかられる人は少なくないでしょう。

備長炭で鰻を焼く、タレが滴り香ばしい香りが風に漂う、まさに魅惑の香り。

甘く濃厚な香りが鼻腔をくすぐり、食欲をそそられる。

皆さんも鰻を焼く香りの誘惑に負けてしまった、そんな経験はありませんか? 鰻の艶やかな焦げ色。

このこんがりとした焼き色ができると同時に香ばしい香りが現れる。

これって、メイラード反応によって生まれています。

聞いたことはあるけど、メイラード反応って何? 魚や肉、パンなど食材のなかに含まれるアミノ酸と糖が加熱することによって結びつき、起こる反応のことで、料理をおいしくしている魔法(化学反応)の一つ。

前述の鰻の蒲焼でいえば、鰻(タンパク質)とタレ(糖)が加熱反応して、茶色に変化し、おいしそうな香りが発生する。

その過程で食材に旨味が増長される。

この化学反応のことをいいます。

トーストやおせんべいの焼き色、ご飯のおこげ、コーヒーやチョコレートもすべてこの反応によるものです。

身近な料理の多くがこの反応を利用して、よりおいしく仕上がっていると考えると、メイラード反応おそるべし。

で、このメイラード反応、じつはワインの世界にも変化を生んでいることがあります。

ワインを加熱することはないのに、なぜ?

今回は、その神秘に迫ります。

この記事を書いた人は…

AYUMI IKEDA池田 あゆ美

自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。