偉大なるマダムへのオマージュ

ピクールからのお便り「ワイン日和」 - IMAGE COPYRIGHT © PCOEUR ALL RIGHTS RESERVED.

「唯一無二」という言葉がある。

文字通り「この世でただ一つしかないこと。

ほかに同類のものがなく、その一つ以外並ぶものがないこと」という意味だけれど、ワインの世界に開眼したきっかけは、まさしくそんなワインに出会って、心を奪われてしまったからだ…。

けれど、最近は、使いがいのある造り手が減った気がしている。

もちろん、良いワイン、完成度の高いワインはごまんとある。

だけど、誰かが認められると、われ先にとそれになぞらえ、表面的に造っていると思うものやもっと酷いのは、個性を奇抜性と勘違いしている造り手もいたりして、志や誇りはどこにいったのだろうと思えることさえ少なくない。

ワインは、その造り手の思想、ひいては生き方そのものだからこそ、独創的なだけでなく、完成度も高い唯一無二の存在であってほしいと願う。

「品質はただ一つ、最高級だけ」そんな言葉を残したのは、ヴーヴ クリコの生みの親、マダム クリコ。

そう「ヴーヴ クリコ」といえば、太陽のようなイエローのエチケットが印象的なシャンパーニュだが、世界中で愛される、このシャンパーニュは、1805年に夫をなくして27歳にしてメゾンを継承することを決意したマダムがブランドに「ヴーヴ:未亡人」の名を冠し、誕生した。

この記事を書いた人は…

AYUMI IKEDA池田 あゆ美

自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。