音を奏でる、ささやくワイン

ピクールからのお便り「ワイン日和」 - IMAGE COPYRIGHT © PCOEUR ALL RIGHTS RESERVED.

「さよなら子供たち。あなたたちのお父さんの所に行きます」

フランス史において、悪女のイメージが強いマリー アントワネット…断頭台にあっても最後まで威厳を失わず、こういい残したという。

恐ろしいほど現実離れしていて、恐ろしいほど短絡的。

フランス革命を引き起こした犯人であり、そして悲劇のヒロインでもある女王。

けれど、多くの日本女性は、おそらくマリー アントワネットが嫌いではない。

いや、むしろ「好き」かもしれない。

なぜなら、漫画家 池田理代子の作品『ベルサイユのばら』や宝塚歌劇団の同名のミュージカルによる効果は大きい、私がそうであるように…。

ヨーロッパの名門ハプスブルク家に生まれ、栄華を誇るブルボン家に王太子妃として嫁ぎ、華やかな宮廷生活を送る。

スウェーデン貴族フェルゼン伯との恋、そしてフランス革命における非業の最期。

波乱万丈のお姫さま人生は、多くの女性たちのヒロイズム魂を甘美に刺激する。

さらに、支持されるもう一つの大きな理由は、会う人すべてを魅了したといわれる「女子力」の高さと、卓越したおしゃれセンスだ。

マリー アントワネットが宮廷のファッション リーダーだったのは有名な話だが、当時、美食と美酒が百花繚乱だったフランス宮廷において、ブルゴーニュやシャンパーニュ、名だたるボルドーワインが宮廷に入るようになっていたなかで、王妃が好んだのは『フローレンス ルイ=パイパー エドシック』だった。

現代にあてはめれば、これは有名銘柄ではなく、新進気鋭の生産者の造るワインを選ぶのににていて、ワイン選びにも卓越したセンスが発揮されていたことを物語っている。

この記事を書いた人は…

AYUMI IKEDA池田 あゆ美

自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。