酸化防止剤って、悪なの?

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「旅先で色濃く残る思い出の味」

誰にでも、忘れられない味や食べ物があります。

私にとって忘れられない至福の味の一つは、イタリア本土の西、地中海に浮かぶ大きな島 サルデーニャ島で味わった、温かみのある赤ワイン。

ある家族の食卓に招かれてマンマの手料理と合わせて楽しんだそのワインは、スルスルとおいしく、旅の高揚感もあって感動もひとしおでした。

今や思い出のなかだけに存在する、そのワインの謎を紐いてみると、面白い事実が見えてきました。

サルデーニャは歴史的にも貿易や通商に積極的でなかったことから孤立を選び、古くからの個性的な伝統と文化を守り続けた島です。

島独自の文化を保ちながら発展した軌跡は、ワインにも色濃く残っていて、栽培しているブドウ品種は、固有品種がメイン。

白品種はヴェルメンティーノ、赤品種はカンノナウ(グルナッシュ)が有名で、今も多く栽培されています。

日本でカンノナウの赤ワインを飲んでみましたが、やはり現地で飲んだ味わいと違う。

なぜだろう? と、追求してみると、現地で飲むワインと輸出されるワインには、決定的な違いがあるとわかりました。

サルデーニャに限ったことではありませんが、産地で飲むワインには、酸化防止剤などの添加物が少ない、もしくは無添加という傾向があります。

そのことが、味わいの違いに大いに関係していたのです。

では、なぜワインに酸化防止剤を使うのか? 今回はワインの添加物、酸化防止剤を廻るお話です。

この記事を書いた人は…

AYUMI IKEDA池田 あゆ美

自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。