【今回のワイナリーは…】
バロラン エ エフ / Ballorin & F
【生産者は、こちらの方…】
ジル バロラン / Gilles Ballorin
雨
6.8℃
93%
2.57m/SW
07:08
16:38
満月の寒い夜、ホットワインを片手に浮かぶ丸い月を愛でる。
ゆらゆらと立ち上がる湯気に、ワインの芳醇な香り、そしてふんわりとシナモンとオレンジの温かいアロマが一緒に立ちのぼり、いつものワインとは違う風味を感じさせてくれる。寒い夜、凍えた身体を温めるには格好の飲みもの。
フランスでは「ヴァン ショー」、ドイツでは「グリュー ワイン」と、呼び名はそれぞれだけど、この時期ヨーロッパ諸国でも親しまれている飲みもの、それが日本でいうところの「ホット ワイン」だ。
ただし、この「ホットワイン」という呼び方は、和製英語。正しくは、「モルド ワイン」と呼ぶらしい。
赤ワインに蜂蜜やスパイスを入れて、温める。沸騰する直前に火を止めるのがコツで、我が家では、オレンジのスライス、シナモンスティック、クローヴを加えて楽しむ。
風邪にも効果抜群。ボトル一本開けられない、そんな日にも、気軽に楽しめるホットワインは、真冬の夜の強い味方。身体の芯まで冷えていると、五臓六腑に沁みわたる。
ホットワインを楽しみながら、真冬の空の満月を観る。満月に、ビオディナミでワインを造る、造り手たちの顔が重なる。満月、それは、彼らビオディナミストのワイン造りには、とても大切な日。
「満月の夜には、水晶の粉をまく」「牛の角を土に埋める」など、断片的に聞こえてくるビオディナミの手法から、なんだか摩訶不思議でスピリチュアルな農法だと思っている人も多いビオディナミ農法。
私も初めてその手法を知ったとき、言葉で解釈するのは難しいなと思った。
だから、ビオディナミストたちに会い、たくさんのワインを飲み感じながら、少しずつ理解を深めていった。でも、実際、その手法も人それぞれ。
一般的な自然派の手法よりももっと手間と時間がかかる、その農法を実践するなかにも、いろんな方法があるんだと気付いた。そんなある日、ある造り手の語りに、いっきに理解が深まった。その造り手とは、ブルゴーニュのジル バロランだった。
この記事を書いた人は…
AYUMI IKEDA|池田 あゆ美
自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。