気候変動で変わるワイン地図

ピクールからのお便り「ワイン日和」 - IMAGE COPYRIGHT © PCOEUR ALL RIGHTS RESERVED.

「夢見草」…紙の本を手に取り、表紙をめくって、意味もないのに音をたててページをペラペラとめくる。なんだか気持ちが落ち着かないとき、書かれていることを読むのではなく、ただ単に紙の香りを感じ、紙質を感じ、ページをめくる音を聞き、五感をフルで使って楽しんでいると、緻密に並んだインク文字のなかから、ふと飛び込んでくる言葉がある。

その出会いが「夢見草」はて、夢見草(ゆめみぐさ)? と辞書で引いてみたところ、「桜の別称」とあった。桜の花が美しくも儚いことから付けられた異名なんだろうなぁと、花びらが春の風に誘われひらひらと舞う光景に思いを馳せて、ふと思う。

ひと昔前は入学式に桜が咲いていたのに、このところ入学式には葉桜になっている。桜の開花はどこまで早くなるのだろうと、次々と興味が広がっていった。

東京の平均気温の変動を調べてみると、結果に納得。東京における冬の平均気温は、ここ100年のうちに約3.1度も上昇。加えて、冬日(1日の最低気温が0度未満)の日数は、100年前の約3分の1以下程度にまで減少している。

なるほど、それでは桜の開花も早まるはずだ。春には桜、秋には紅葉、日本の四季にも影響を与える気候の変化。では、気候変動がワイン造りに与える影響はどうなっているのだろう。

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AYUMI IKEDA池田 あゆ美

自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。