【今回のワイナリーは…】
ドメーヌ ボールナール / Domaine Bornard
【生産者は、こちらの方…】
フィリップ ボールナール / Philippe Bornard
くもり
3.6℃
90%
0.98m/E
07:04
15:49
つい昔話になるけれど、私がナチュラルなワインに傾倒し始めたころ、オレンジ色の狐をとくに熱心に買い集めていた。
その頃の私にとって、ジュラ地方は、あまりなじみのないワイン産地で、黄ワインや藁ワインといったほかの地方と全く趣きの違うワインを造り続ける産地くらいの認識で、その魅力を本当に理解できていた訳ではなかった。
けれど、そのオレンジ色の狐は、いちいち難しいことをいわず、なにか心に沁みるものがあった。そして飲めば、口元に温かい微笑みを運んでくれる、私にとって天使のような存在だった。
オレンジ色の狐の育ての親は、フィリップ ボールナール。
フランス東部、スイス国境に近い山麓にあるジュラ地方、中心地アルボワの街からさらに2キロほど南下した森に囲まれた山村ピュピランに蔵を構える造り手だ。
彼のカーヴを訪ねると、カーヴを囲む丘の斜面にはブドウ畑が広がっていた。
「ジュラ」とは、ラテン語で原生林や森を表す言葉で、その名が示す通りに山に囲まれた高原地帯になっている。
周囲から隔絶された秘境の雰囲気が漂う、手つかずの自然の美しさを前に、なるほど、だから孤高の伝統のワイン、ジュラ独自の味わいが残ったんだなと一人ごちた。
まずは、フィリップ家の地下にあるカーヴに案内される。早速、ラベルの狐について聞いてみた。
この記事を書いた人は…
AYUMI IKEDA|池田 あゆ美
自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。