草の香りが導く白ワインと食卓

ピクールからのお便り「ワイン日和」 - IMAGE COPYRIGHT © PCOEUR ALL RIGHTS RESERVED.

グラスを傾けるその瞬間、白ワインから立ち上る香りは、単なる〝飲み物〟以上の経験をもたらす。果実の甘みや花の香りの陰で、ひっそりと主張を始めるのが、草のような、ハーブのような、あるいは青野菜を思わせる、植物的なニュアンスである。これらはときにワインの若さや冷涼な生育環境を物語るが、同時に風味そのものの個性として、食材と驚くほど深い共通性を持つ。

食材とワインは、それぞれが自然由来の複雑な風味を備えているが、なかでも「香り」は、両者をつなぐ最も繊細で感覚的な橋となる。香りの系統、強弱、持続性や清涼感。それらが一致することで、ワインと料理の組み合わせは、単なる相性の良さを超えた〝風味の共鳴〟として立ち現れる。特に植物的な香りを持つ白ワインは、同じように青さや清涼感を持つ食材と驚くほど調和し、それが料理の印象を一変させることすらある。

たとえば、冷涼な産地で造られたソーヴィニヨン・ブランに感じられるのは、レモングラスや刈りたての青草、グリーンピースのような爽やかな香りだ。こうした〝草の香り〟は、時にワインに青々しさや冷たさすら印象づけるが、それがネガティブに転ぶか、心地よい清涼感として感じられるかは、合わせる食材次第で大きく変わる。

この記事を書いた人は…

ITARU TESHIMA手島 格

自然派ワイン専門店『ピクール』店主2号。現在、ワインコンサル、ワイン販売、飲食店へのソムリエ派遣など、ワインに関わる多くのことに対応させていただいております。世の人が少しでも楽しく幸せになれるように「楽しませて、自分も楽しんで」をモットーにしています。ワイン業界以前は、WEBゲーム業界において、デザイン、システム開発、企画などの現場業務からマネジメントまでと、様々な経験を積み重ねてきました。寝食を犠牲にした分、それが礎となり、今でも役に立っているような気がします。仕事も趣味も多岐に渡りすぎたのか、独立すると、なんでも屋に…笑。今の趣味はダンスから柔術へ。WEBブランディング、ロゴ制作、ホームページ、写真撮影、社内システム整備など、ワイン以外でのご相談もどうぞ。 tessy.work