【今回のワイナリーは…】
ドメーヌ プティ ロワ / Domaine Petit Roy
【生産者は、こちらの方…】
斎藤 政一 / Saito Seiichi
くもり
11℃
84%
3.34m/SW
07:01
15:55
二十四節気だと「穀雨」春雨降りて百穀を生化すればなり(歴便覧)と説かれた季節だ。
この時期に寒さから解放された大地に降る春の雨の潤いは、すべての穀物を潤し、生長を助ける恵みとなるということから名付けられた。
草木が芽生え、虫や動物が動き始めて、やっと花の季節を迎える。
そんな春の訪れを喜んだのは、つい先日のことだけど、今年は、満開の桜のふんわりとした優しさに包まれることも叶わず、大きなランドセルを得意げに背負って歩く小学一年生の姿をまだ見ることはできない。
世界が包まれている灰色の長い冬にまだ終わりは見えそうにない。
世界が戦々恐々として落ち着かない。
心にさざ波が立っていると感じていたとき、ワインの造り手たちからブドウ畑の様子が送られてきた。
それは、春雨のように私の心を潤わせ、希望の光を与えてくれた。
フランスのブドウ畑では、冬眠から目覚めていっきに息を吹き返した樹々が芽吹き、土起こしの作業が行われていた。
土起こしは、微生物の活動をより活性化させて、土地に眠る良質な自然酵母を解放する作用がある。
ふと「ドメーヌ プティ ロワ」の日本人醸造家 斎藤 政一さんの言葉を思い出した。
「畑にとって良いことをする」「居心地がよく、エネルギーを持っている畑のブドウでしか、よいワインはできない」斎藤さんは、ブルゴーニュの新星として注目される醸造家で、大学では世界で進む砂漠化問題、土壌劣化の研究に取り組んだ。
そのなかで持続可能な農業や土地に合った食物栽培を考えるなかで、ブドウに出会い、ワイン造りに興味を持った。
彼は、長野県小布施の「ドメーヌ曽我」で就労したあと渡仏し、ブルゴーニュの「ドメーヌ シモン ビーズ」「ドメーヌ ルフレーヴ」などでワイン造りに携わってきた。
とくに、シモン ビーズにおいては、当主、故 パトリックのワイン造りへの実直な姿勢を感じながら、長年アシスタントを務め、ブドウの栽培では本格的に有機やビオディナミ農法へと舵をきるため、尽力した人物として知られる。
そして、2016年、ついに満を時して自身のワイナリー『ドメーヌ プティ ロワ』を設立した。
この記事を書いた人は…
AYUMI IKEDA|池田 あゆ美
自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。