柑橘の香りがつなぐ白ワインと和食

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白ワインのグラスに顔を近づけたとき、ふわりと香る爽やかな柑橘の香りは、爽やかな風のように心を整えてくれます。ワインの第一印象を左右するこの香りには、視覚や味覚を超えて、飲む人の記憶や感情にまで作用する不思議な力があると感じたことはないでしょうか。

ライム、レモン、グレープフルーツ……この三つの柑橘の香りは、特に冷涼な気候で育つ白ワインで、その多くは、フルーティでありながらシャープな酸を持ち、若いうちから香り立ちます。その中でも柑橘系の香りは、果実のフレッシュさと酸味の輪郭を明確に伝える第一アロマとして重要な役割を果たしています。

まず、ライムの香りについて考えてみましょう。ライムのアロマは、柑橘の中でも特に青々しく、鋭さを伴います。ライムを思わせる香りを持つ白ワインには、ピュアで緑がかった色調のものが多く見られます。

ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランや、オーストリアのグリューナー・フェルトリーナーなど。青リンゴのようなニュアンスに重なるグリーンなトーンが、ワイン全体の清涼感を引き立てています。

このライムの香りは、料理の香りとも深く結びついています。青菜のおひたしに感じるさりげない青みや、みつ葉のような爽やかな和のハーブの香りと重ねると、思わず舌の上に清潔感のある酸味が再現されるかのようです。

また、鶏ささみの梅肉和えのような、淡白なタンパク質に酸を合わせた料理には、ライム系の白ワインがよく合います。料理に含まれる梅の酸とワインの酸味が呼応し、双方のフレッシュさを高め合ってくれるのです。

この記事を書いた人は…

ITARU TESHIMA手島 格

自然派ワイン専門店『ピクール』店主2号。現在、ワインコンサル、ワイン販売、飲食店へのソムリエ派遣など、ワインに関わる多くのことに対応させていただいております。世の人が少しでも楽しく幸せになれるように「楽しませて、自分も楽しんで」をモットーにしています。ワイン業界以前は、WEBゲーム業界において、デザイン、システム開発、企画などの現場業務からマネジメントまでと、様々な経験を積み重ねてきました。寝食を犠牲にした分、それが礎となり、今でも役に立っているような気がします。仕事も趣味も多岐に渡りすぎたのか、独立すると、なんでも屋に…笑。今の趣味はダンスから柔術へ。WEBブランディング、ロゴ制作、ホームページ、写真撮影、社内システム整備など、ワイン以外でのご相談もどうぞ。 tessy.work