【今回のワイナリーは…】
ミクロビオ ワインズ / MicroBio Wines
【生産者は、こちらの方…】
イスマエル ゴザロ / Ismael Gozalo
くもり
11.1℃
74%
9.19m/W
07:12
16:54
「人生100年時代」というけれど、ピンピンコロリが私の理想です。
医療技術の発展で、さまざまな病気や苦しみは克服でき、死は少しだけ遠のいたようにも感じます。
けれど、ここ数年の新型ウイルスや戦争、自然災害による犠牲…など、こうした出来ごとは、私にまざまざと「死」を意識させました。
誰しもに訪れるその瞬間…そのことを、自分ごととして考えたとき、不安や恐怖を感じずにはいられませんでした。
けれど、ふと立ち止まって考えてみたことで、どう生きたいかを見つめることはできました。
健康でいられる間は引退もせず、仕事を持ち続ける。
それが自分らしく生きること。
まったく具体的な人生設計になっておらず、お恥ずかしいのですが、答えが見つからないとき、私は「自然を感じて自然から教わる」という原点に戻ってみます。
今回は、奇跡の古樹でワインを造る、スペインのセゴビア地方「ミクロビオ ワインズ」のお話です。
19世紀後半頃、ヨーロッパのワイン産地では「フィロキセラ」という害虫がブドウを壊滅的な被害に追い込みました。
体長たった1ミリの小さな虫ですが、根に寄生し樹液を吸って成長し、ブドウを枯死させます。
被害は1860年代のフランスから始まり、イタリアやスペインへと広がり世界各地を襲い、ヨーロッパのほとんどの畑がブドウの植え替えを余儀なくされました。
が、奇跡的にフィロキセラの害を免れた土地もあったのです。
スペイン中央部のセゴビア地方には、その影響から逃れた樹齢100年を超える古樹が今なお現役で存在します。
100年を超えるブドウ畑に立ったときの樹々が放つ神秘的なオーラに圧倒された記憶が鮮明に蘇ります。
樹齢100年にもなる古樹が散見される、スペインきっての古樹地帯。
「ミクロビオ ワインズ」の畑も例外ではなく、なんと樹齢270年のヴェルデホが長老のごとく植わっています。
害虫から守ってくれたのは、およそ2300万年前に形成された砂質土壌でした。
この土壌は、サラサラとした土性でフィロキセラが根を目指して穴を掘っても生息することができず、自根のブドウ樹が奇跡的に残された有数の畑です。
この記事を書いた人は…
AYUMI IKEDA|池田 あゆ美
自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。