【今回のワイナリーは…】
シュトロマイヤー / Wein & Sektmanufaktur Strohmeier
【生産者は、こちらの方…】
フランツ シュトロマイヤー / Franz Strohmeier
晴れ
5.8℃
46%
4.63m/NW
06:13
15:17
土曜の午後1時。私は今日もワインビストロへとおもむいた。
いつものカウンター席に座り、いつもの一杯、ペティアンを飲んで喉を湿らせた。うららかな陽気のなか、風に揺れる木々は冬眠から目覚め、生き生きとして力強さを増していた。
まだ明るい時間帯に、ワイン片手にのんびりまったり過ごす。
この一瞬は、たまらなく贅沢でやめられない。
喉ごし良く染みわたる味わいが、仕事の疲れを吹き飛ばす。
そして、私は、ふと、壁のメニューボードに目をやった。
この季節、生命の息吹や花の便りが聞こえると、きまってロゼワインが飲みたくなる。
ロゼは、フランス語のピンク色。
色づく季節を感じさせ、気分も盛り上げて、テーブルに桜を咲かせる。そんな印象を与えてくれる。白より飲みごたえがあって、赤よりなめらかな口当たり。
そして、強い香りや独特の苦みを持つ春の旬野菜にもぴったり寄り添う。
ワインリストから目を上げて、ぼんやりと宙を見つめていると、横からすっとロゼワインのグラスが差し出された。
「この季節にピッタリなオーストリアのロゼです!」
そのグラスに注がれた液体は、ロゼとは到底信じられないほどに赤に近い色だった。グラスからは、アセロラやお菓子の梅ガムのようなアロマが漂い、まるで満開の紅梅がグラスに咲いているようだ。
飲むと、香り同様に赤果実系フルーツのブドウの果実味、その奥に昆布出汁の旨味に似た味わいが続く。
その液体は、春を告げ、その余韻は永遠に続くように感じられる。
この記事を書いた人は…
AYUMI IKEDA|池田 あゆ美
自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。