【今回のワイナリーは…】
フォラドーリ / Foradori
【生産者は、こちらの方…】
エリザベッタ フォラドリ / Elisabetta Foradori
くもり
6.6℃
31%
1.75m/S
06:25
15:37
困った。何を選ぼうか。
からりと晴れた朝に始まり、風が強いと思ったら、春はそれで終わらなかった。
あっという間に黒雲が湧き、花散らしの雨。
春はころころ変わる。そして、気持ちもころころ回る。
そんな日は、着るものと同じで、ワイン選びも困る。
料理に合わせてワインを選ぶ、そんな日もある。
けれど、今日はワインから選びたい、ふとそう思った。
セラーのなかから、パワーを感じる1本を取り出す。
マダム ルロワのワインだった…フランスで最も有名な女性醸造家。
ご高齢にもかかわらず、バイタリティあふれる。
マダムが「わが子」と呼ぶワインを眺めながら、イタリアで最も有名な女性醸造家にも思いを巡らせる。
畑に行くにもシャネルを着て…というのが、 ルロワ、かたや白シャツにブルージーンズのファッショニスタが「フォラドーリ」のエリザベッタ。
どちらも私が尊敬と憧れを抱く、女性醸造家だ。
「Tiroler Gold=チロルの黄金」に語源をもつ、ブドウ品種テロルデゴ。
イタリアの北東部のトレンティーノ アルト アディジェの固有品種の一つで、歴史的にも南チロルと呼ばれる土地に植わる。
約40年ほど前まで、無名に近い品種で地元でしか知られていない存在だった。
というのも、第一次世界大戦まで南チロル地方は、イタリアではなく、オーストリア ハンガリー帝国の領土。
この地の赤ワインは、より栄えていたドイツやオーストリアへ運ばれ、親しまれる。
戦後、イタリア領になったけれど、イタリア国内ではテロルデゴに対する認知度がとても低かった。
さらには、イタリア国内では北に位置する産地というだけで、白ワイン造りを求められるようになり、テロルテゴは売る市場をなくした。
結果、ブドウ農家たちは、多産型のクローンに植え替え、大型容器でバルク販売しながら生計をたてていくしかなかった。
そんな背景のなか、エリザベッタ フォラドーリは、父親の死によって、20代で当主になってしまう。
この記事を書いた人は…
AYUMI IKEDA|池田 あゆ美
自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。