8000年の回帰、電力も使わないワイン – パラッツォーネ / ジョヴァンニ ドゥヴィニ –

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【今回のワイナリーは…】
パラッツォーネ / Palazzone

【生産者は、こちらの方…】
ジョヴァンニ ドゥヴィニ / Giovanni Dubini

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地中海の真んなかに南北に伸び、時代の移り変わりとともに多数の地方文化が花開いた国、イタリア。

ミラノ、ヴェネト、フィレンツェにローマ、ナポリにシチリア、それぞれが異なる歴史とアイデンティティを持ち、今もそれぞれの地で異なる果実を咲かせている。

「イタリア料理というものは存在しない」といわれるほどに、ひとつには括れない地域性が豊かな郷土料理は、北のピエモンテではお米、フリウリやエミリア ロマーニャでは生ハム、南部ではトマトやモッツァレラ、シチリアでは果肉の赤いオレンジやサボテンの実など、充実した農作物に支えられてきたことはいうまでもない。

ブドウやオリーブは、北から南まで土地の個性が色濃く反映したものが作られていて、バラエティ豊か。

そんな食材をより美味しくするのは、明るく、陽気で気さくなイタリア人たちとマンマの料理を囲むのが最高である。

さて、今回はイタリア中部ウンブリア地方の歴史と彼の地で最も古くからワインを造っている産地「オルヴィエート」の老舗の話。

「イタリアの緑の心」と呼ばれる、イタリア中部のウンブリア地方は、永遠の都ローマから北に約100km。

ローマがローマらしさに支配された都市だとしたら、肥沃な母なる大地やイタリアの田舎の顔を見せてくれるのがウンブリアだ。

古代ローマ前夜には、エトルリア文明が花開いていて、ブドウの栽培もその頃が起源とされる。

なかでも世界一ともいわれる丘上都市「オルヴィエート」の白ワインは、ウンブリア地方における最古のワインでルネッサンスの宮廷や法王の出席する食卓にも登場していた高級ワインだった。

そんな歴史あるワインも時代には逆らえず、第2次世界大戦後は名声を落としていく。

オルヴィエートで収穫さえすれば、ほかの地域で醸造しても良いという法律により、それを利用した大手企業がオルヴィエートを冠した「安ワイン」を大量生産し、一気に品質を落としめた。

そんな悲しい現実と戦い、本来のオルヴィエートを残すために奮闘、本気でワイン造りに取り組んでいる造り手は5社しかない、その一つが「パラッツォーネ」だ。

この記事を書いた人は…

AYUMI IKEDA池田 あゆ美

自然派ワイン専門店『ピクール』店主。映画業界、音楽業界、出版業界、IT業界…その時代時代で色濃く表現されるエンターテイメントが好きで、時代のニーズを捉え、それら一つ一つを私は職業としてきました。当時、男性社会と言ってもいいほどの厳しい業界をがむしゃらに走ってきたせいか、身体はボロボロ…。そんなときに訪れた地中海で「食卓」から生まれる人生の楽しさや豊かさに感銘を受け、今のナチュラルワインの仕事へと導かれていきました。ワインだけでなく、食、旅、音楽、映画など、一見関係ないジャンルの感性も大切にして、ワインを選ぶようにしています。ワイン通信販売、業務用卸売、ワインコンサル、セミナーなど、様々なニーズに丁寧にお応えします。